2009年02月24日

小山薫堂の「おくりびと」

とうとう、オスカーまで獲ってしまいましたね、
「おくりびと」。

納棺師という職業に光を当てた、とか
もっくんの所作の美しさ、とか
生と死の尊厳や家族愛を丁寧に描いた、とか、
さまざまな評価があります。

が、昨年秋に、私が観たきっかけというか、興味はただ一点。
『小山薫堂の初映画脚本作品』。

(以下、ネタばれありんす。)


小山薫堂氏といえば、「カノッサの屈辱」をはじめ、
数々のテレビバラエティ番組を生んだ放送作家で、
中でも評価が高いのが、海外でも人気を博した「料理の鉄人」。

また、カレー店「東京カレーラボ」をプロデュースしたり、
料理雑誌「dancyu」では「一食入魂」という食にまつわる連載を
かれこれ7〜8年は続けていたりと、まさに“食の人”だと私は認識し、
その動向を以前からかなり注視していたのです。
(最近では、“くらし”そのものをプロデュースする方向に進みつつあるようで、
その活躍の場はとどまるところを知らない、っていう感じです。
詳しくはこちらで!)

で、「おくりびと」ですが。

映画館で思わず身を乗り出してしまったシーンがある。

主人公の納棺師(もっくん)が、妻(広末涼子)の反対や周囲の目もあり、
仕事をやめようと社長(山崎務)を訪ねると、
社長は何故か食卓(?)でふぐの白子を焼いている。
辞意を伝える主人公に社長は言う。

「死ぬ気にならなきゃ食うしかない。どうせ食うなら旨いほうがいい。」

『このセリフのために、この脚本を書いたに違いない!』って
そのとき思ったのですよ、私は。
違う?確かに違うかもしれないけど、そう思ったのは事実。

「どうせ食うなら旨いほうがいい」。
深いよ。
これは、小山さんならではのセリフだと、今でも思っている。

このあと、「旨いぞ、食え。」と勧められるままにふぐを食べ、
「旨いです。」とだけ言う主人公は、
辞めるのを思いとどまる(ということが観る人には伝わる)のだけれど、
二人がハフハフと食べるふぐがまた、ぷくぷくの熱々、
香ばしさまで漂ってくるようで、本当に美味しそう。

また、クリスマスのシーンでは、
主人公・社長・女性社員(余貴美子)の三人が、
ひたすらむさぼり食べるチキンが、それはそれは美味しそうだった。
大手チェーン店のそれとは違って、皮はうすいキツネ色で、
それを齧るときのパリッという音が、観る人の食欲をそそる。
(このシーンはたぶん、主人公はすっかり仕事にも慣れて、鶏も平気です、
という伏線の意味もあるのだろうけれど。まあいいや。)

ラストシーンの、涙誘う「石文」のエピソードより、
「ふぐの白子」に最も感銘を受けた私は、
やっぱりただの食いしん坊ってことなのかなー。

ま、いろんな映画の見方があってもいいのではないでしょうか。


pyon1969 at 21:50 │Comments(4)TrackBack(0)この記事をクリップ!映画 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by コニシユキ    2009年02月25日 13:29
私も、小山薫堂さんは食エッセイストの印象が強い。
でも、初映画脚本がオスカーとは!?
私はまだ「おくりびと」を観ていませんが、いろんな観点から楽しめそうですね。
2. Posted by ぴょん    2009年02月25日 21:56
コニシユキ様

ねー。監督やもっくんが注目されてるけど、初脚本でオスカー、凄いです!
今週末からシネマフロンティアで記念上映するみたいなので、ぜひ!
3. Posted by ふくちゃん    2009年02月26日 20:34
どなたかのブログを見ていましたら、小山さんは食の表現には、かなり気を遣っていたようです。
おそらく、ぴょんさんの仰る通り、白子のシーンを描きたくて台本を書いたんじゃないでしょうか(笑)。
4. Posted by ぴょん    2009年02月28日 14:41
ふくちゃん
やっぱり!?
なーんて・・・

コメントする

名前
URL
 
  絵文字